【生成AI × 内装デザインの最前線】生成AIが変える内装デザインの最前線

はじめに:内装デザイン業界に押し寄せる「生成AI」の波

建築・内装デザインといえば、これまで“人間の感性”が重視されてきた領域でした。
一つひとつの空間に手作業でパースを描き、現地で照明や動線を確認しながら、空間を「デザイン」していく。そこには、経験と職人技の積み重ねが必要でした。

しかし2023年以降、「生成AI(Generative AI)」の進化により、その常識が大きく変わり始めています。
画像生成AI、言語生成AI、レイアウト自動化AI…次々と登場する新しいツールが、設計の初期段階や提案工程の在り方を根本から変えつつあるのです。

本記事では、ノバレンズ株式会社が注視する最新の生成AIトレンドをもとに、
– 内装デザインの実務がどう変わったか
– どのような価値をクライアントにもたらしているのか
を現場目線でご紹介します。

1. 生成AIによって変わったこと:空間提案のスピードと精度

かつて数日かかっていたパース制作が、数分で

従来の内装提案では、ラフプランや図面からパースを起こすには時間と費用がかかりました。
CADや3Dソフトを用いたCG制作では、建材の質感やライティングを表現するレンダリング作業に丸一日〜数日を要することも珍しくありませんでした。

しかし近年では、MidjourneyやDALL·E、RoomGPTなどの画像生成AIや、空間写真からテイストを変えて内装ビジュアルを提案できるビジュアライゼーション系AIツールの登場により、
– 図面や空間写真
– テイストやスタイルのキーワード(例:北欧風、インダストリアル、和モダン)
を入力するだけで、わずか数分で完成度の高い内装ビジュアルが生成できるようになっています。

ChatGPT×DALL·E統合、そしてGPT-4oの登場が業界を加速させた

OpenAIが提供するChatGPTに、DALL·Eが統合されたのは2023年秋。
さらに2024年5月に登場したGPT-4o(オムニ)は、音声・画像・テキストを統合的に理解・生成できる次世代AIとして注目を集めました。

GPT-4oでは、従来の画像生成における
– 構図やライティングの精度
– 指示との整合性
– 空間構造への理解
といった課題が大幅に改善され、「会話しながらインテリアを生成し、その場で微調整できる」レベルにまで到達。

こうした技術革新により、内装デザインの初期フェーズにおけるビジュアル生成のコストとスピードが劇的に変わったのです。

2. ビジュアルコミュニケーションの進化:言葉から“画像”へ

言語によるイメージ共有に限界があった

これまで、空間デザインにおいては「ナチュラルだけど重厚感がほしい」「和モダンだけどホテルっぽさも…」といった、抽象的な表現をどう解釈するかが課題でした。

デザイナー側の感覚と、クライアントの想像がズレてしまうと、
– 「思ってたのと違う」
– 「もっとラグジュアリーな感じがよかった」
といった食い違いが発生しやすく、修正や再提案に時間がかかっていました。

生成AIで「一発でイメージ共有」が可能に

画像生成AIは、こうした言葉の曖昧さを“画像”という直感的なアウトプットで橋渡ししてくれるツールです。

たとえば、クライアントとの初期打ち合わせ時に
– 「この写真の雰囲気が好み」
– 「この要素は入れてほしい」
といったインプットから、数パターンのビジュアルをAIで生成し、その場で共有することが可能になっています。

「イメージが形になるのが早い!」
「その場で方向性が見えるのは安心」
と、多くの開業予定者やオーナーからも好評を得ています。

3. 「たたき台」生成により、アイデアの拡張力が爆発的に向上

多様な提案パターンを瞬時に用意できる

同じ物件に対して以下のような“テイスト別”での提案をAIを使って生成することで、
– A案:ナチュラルウッド×間接照明=居心地の良いカフェ
– B案:スモーキーグレー×タイル=ホテルライクなラウンジ
– C案:黒×金属素材=インダストリアルバー
といった複数案をクイックに用意できるようになりました。

これまで、こうした3パターンの提案には数日を要していたものが、今では1〜2時間での作成も可能です。

たたき台があることで議論の質が上がる

生成AIは、あくまで“ゼロ→イチ”の起点に過ぎません。
そこからデザイナーが精査・編集し、現場や文脈に合った空間に落とし込んでいく作業が不可欠です。

しかし、たたき台を高速で出せることで、
– 「この方向でいこう」
– 「この要素だけ取り入れたい」
といった判断がしやすくなり、チーム全体の創造力が加速します。

これは、内装業界における「提案・検討フェーズ」の質そのものを向上させる大きな要因となっています。

4. 生成AIは“手段”であり、“価値の源泉”は人間にある

生成AIが描くCGは確かに美しい。
しかしそのCGが実際の空間に落とし込めるかどうかは、また別の話です。

– 実際に採用できる建材か?
– 空間全体の動線・照明バランスは?
– その立地・業態の顧客層に合っているか?

といったリアルと向き合う視点こそ、ノバレンズのような現場主義の設計会社の提供価値です。

AIによって「速く・多く・きれいに」画像が出せる時代だからこそ、
何を選び・どう整えるかという人間の判断力が、より問われています。

おわりに:生成AIは空間デザインの“共創パートナー”へ

生成AIは、私たち内装デザイナーにとって「脅威」ではありません。
むしろそれは、デザインの“思考速度”を加速させるためのパートナーです。

– 提案スピードの向上
– クライアントとの認識の一致
– アイデア拡張の起点
– 工数削減による価格提案への好影響

今後は、AIと人間の役割を明確に分担し、
「テクノロジー×感性」の融合による新しい空間づくりがますます求められていくでしょう。

ノバレンズ株式会社は、これからも進化するAI技術を積極的に活用しながら、
現場感覚と人間らしさを融合させた、唯一無二の空間提案を目指してまいります。